黒猫クロとの思い出
クロは名前の通り黒い猫。
私が物心ついたときから傍にいた立派な成猫でした。
♂猫でもとは外猫というか他で飼われていた家があったそうなのですが、放し飼いにしていま結果いつのまにか我が家に居座っいていつの間にかうち猫になっていたそうです。
あまり人になつかない猫だったそうなのですが、私にとってはそうではありませんでした。
親よりお迎えが早い先輩お猫様
幼稚園時代、家の前まで送迎のバスがやってきました。
他の幼稚園はどうかわかりませんが、私が通っていた幼稚園は園児の家の前までバスが迎えに来てくれるものでした。
そんな時に母や私よりも先に外に出て見送ってくれたのがクロでした。
帰りは母が出迎えるより早くクロが私を待っていてくれました。
小学校に上がってもそれは変わりませんでした。
学年が上がって、帰宅時間が変わってもいつも玄関の隅で座って待っていてくれました。
早く家の中に入れと鳴き、先導するように前を歩いて、私が足を止めるとこちらをむいて早く来いと、ばかりに、にゃ〜と鳴いたのです。
学年が上がり習い事をはじめて帰宅、時間が遅くなったり、出る時間がちまちまと変わっても気がつくとクロは出迎えのおなじみの場所に座っていました。
ある時、部活動か何かで帰りが遅くなってしまい、そのときはさすがにクロの姿はありませんでした。
でも、あとから聞いた話ではクロはいつもた私が帰ってくる時間から日が暮れて寒さが激しくなるまで、私を待っていてくれたのだそうです。
私には付かず離れずでも、寄り添うように傍にいてくれたクロですがあまり抱かれるのが好きな猫ではなかったように思います。
そんなクロが高校生の頃に首元に寄り添って眠ってくれるようになりました。
その頃には、もうかなりのお年寄りでした。
正確な年齢はわからないのですが、人間だったらよぼよぼの、おじいちゃん。
なぜか私にとてもなついてくれる子でした。
子というのはおかしいのかもしれません。
クロは間違いなく私よりも年上だったのですから。
天寿を全うしてくれたと願ってる
亡くなったときのことはあまりよく覚えてないのです。
何度か身体をけいれんさせて、それでもひとりでトイレまで歩こうとして、フラフラで。
ニャニャアと鳴いていて。
朝には息を引き取っていた。
冬だったのか夏だったのかも覚えていません。
泣いたのが、ただ、呆然としていたのかもしれません。
葬儀は簡単なものにした記憶があります。
お骨はもらっていません。
霊園に安置させてもらっています。
私が生まれる前から野良猫やら犬やらにわとりやら多くの動物を飼育してきたのですべてのお骨を貰っていたらお家が骨だらけになってしまうから、だと家族から聞いています。
息を引き取ったクロは、死んでしまったクロはただ眠っているだけではない。
あぁ、もう、しんじゃだたんだ…というぬくもりがない。
ゆっくりとじっとりとそれが実感させられる。
普通に眠っているのと違う。
ぬくもりがない。
生を感じさせない寝顔に、たぶん、泣いたのだと思います。
わらないと書いたけどたぶん泣きました。